本日のNVD分析対象は 200件、うち Critical 32件 / High 123件 です。最も深刻なのは golang.org/x/crypto のSSHサーバ実装における認証バイパス(CVE-2026-46595、CVSS 10.0) で、公開鍵以外のコールバック設定時に送信元アドレス検証がスキップされます。広く使われるパッケージでは Axios のプロキシ回避/SSRF(9.9)、Rollup の任意ファイル書き込み(9.8) が並び、AI基盤 Ray のRCE(8.8)は CISA KEV に登録=悪用確認済みです。GitHub Advisory Database でも 723件が更新されました。
本日の概要
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| NVD 分析対象 | 200件 |
| Critical (9.0+) | 32件 |
| High (7.0-8.9) | 123件 |
| Medium (4.0-6.9) | 36件 |
| GitHub Advisory(更新分) | 723件(Critical 159 / High 456 / Moderate 65 / Low 39) |
| OSV 新規Advisory | 12件(npm 9 / PyPI 3) |
| JVN(日本語) | 3件(Medium 2 / Low 1) |
| 影響エコシステム | npm, PyPI, Go, Java(Maven), .NET |
Critical / High 脆弱性の詳細解説
CVE-2026-46595:golang.org/x/crypto SSHサーバの認証バイパス
- 深刻度: Critical(CVSS 10.0、CWE-863 / CWE-303)
- 影響: golang.org/x/crypto の
sshサーバ実装を利用するGoアプリケーション - 概要: 過去の CVE-2024-45337 で修正された認可バイパスの再発です。公開鍵以外のコールバック(パスワード認証など)を設定している場合、送信元アドレス(source-address)の検証がスキップされ、本来アクセスを許可されないクライアントからの認証が通り得ます。自前でSSHサーバ機能を実装しているGo製ツール(Gitホスティング、踏み台、CI連携等)が対象です。
- 修正: x/crypto を最新版へ更新してください。ディストリビューションの場合は Red Hat errata(RHSA-2026:23262 ほか)も配布されています。
CVE-2025-62718:Axios のNO_PROXY回避によるSSRF
- 深刻度: Critical(CVSS 9.9、CWE-918 / CWE-441)
- 影響: Axios 1.15.0 未満および 0.31.0 未満(npm)
- 概要:
NO_PROXYのホスト名正規化に不備があり、localhost.(末尾ドット)や[::1](IPv6リテラル)などのループバック指定が NO_PROXY 判定をすり抜けて設定済みプロキシを経由します。これにより、内部サービスやループバックを保護しているつもりの構成でも、攻撃者がプロキシ経由でリクエストを強制し、SSRF に発展し得ます。 - 修正: Axios 1.15.0 以降(0.x系は 0.31.0 以降)へアップデートしてください。極めて広く使われるHTTPクライアントのため、推移的依存も含めた確認を推奨します。
CVE-2026-27606:Rollup のパストラバーサルによる任意ファイル書き込み
- 深刻度: Critical(CVSS 9.8、CWE-22)
- 影響: Rollup 2.80.0 / 3.30.0 / 4.59.0 未満(npm)
- 概要: 出力ファイル名のサニタイズ不備により、CLIの名前付き入力・手動チャンクエイリアス・悪意あるプラグイン等を通じて
../を含む出力パスを制御でき、ビルドプロセスの権限が及ぶ範囲の任意ファイルを上書きできます。設定ファイル等の上書きを通じて永続的なRCEに至る可能性があります。 - 修正: Rollup 4.59.0 以降(該当系列は 2.80.0 / 3.30.0)へ更新してください。信頼できないプラグインや入力名を扱うビルド構成は特に確認を推奨します。
CVE-2026-22797:OpenStack keystonemiddleware の権限昇格
- 深刻度: Critical(CVSS 9.9、CWE-290)
- 影響: OpenStack keystonemiddleware(10.7.2 / 10.9.1 / 10.12.1 等の修正版より前)
- 概要:
external_oauth2_tokenミドルウェアが受信認証ヘッダーを検証せず処理するため、X-Is-Admin-ProjectやX-Roles、X-User-Idなどの 偽装したIDヘッダーを送信することで権限昇格や他ユーザーへのなりすましが可能です。当該ミドルウェアを使う全デプロイが影響を受けます。 - 修正: 各系列の修正版(10.7.2 / 10.9.1 / 10.12.1 以降)へアップデートしてください。
CVE-2026-28802:Authlib のJWT署名検証バイパス(alg:none)
- 深刻度: Critical(CVSS 9.8、CWE-347)
- 影響: Authlib 1.6.5〜1.6.7 未満(PyPI)
- 概要:
alg: noneかつ空署名の悪意あるJWTが、本来失敗すべき署名検証を通過します。OAuth/OpenID Connect サーバを Authlib で構築している場合、トークン偽造につながり得ます。 - 修正: Authlib 1.6.7 以降へアップデートしてください。
CVE-2025-48938:go-gh(GitHub CLI拡張)の任意コマンド実行
- 深刻度: Critical(CVSS 9.8、CWE-501)
- 影響: go-gh 2.12.1 未満(Go / GitHub CLI 拡張機能)
- 概要: 攻撃者が制御する GitHub Enterprise Server が、ブラウズ用に返すHTTP URLをローカルファイルパスへ差し替えることで、利用者のマシン上で任意コマンドが実行され得ます。回避策はなく、アップデートが必要です。
- 修正: go-gh 2.12.1 以降を利用する拡張機能へ更新してください。
CVE-2026-27727:mchange-commons-java のJNDIリモートコード実行
- 深刻度: Critical(CVSS 9.8、CWE-74 / CWE-502)
- 影響: mchange-commons-java 0.4.0 未満(c3p0 等が依存、Java/Maven)
- 概要: JDK本体では既定無効化されている JNDI の
factoryClassLocationによるリモートコード取得を、mchange-commons-java が独自実装で保持しているため、c3p0 等を通じて 悪意あるReferenceやシリアライズオブジェクトを読ませることでリモートコード実行に至り得ます。 - 修正: mchange-commons-java 0.4.0 以降(既定で制限的な設定)へ更新してください。CLASSPATH上に 0.4.0 未満を残さないことを推奨します。
CVE-2025-61140:jsonpath のプロトタイプ汚染
- 深刻度: Critical(CVSS 9.8、CWE-1321)
- 影響: jsonpath 1.1.1(npm)の
value関数 - 概要:
value関数にプロトタイプ汚染の脆弱性があり、Object.prototypeの汚染を通じてアプリの挙動改変やDoS、条件によってはRCEに波及し得ます。npm では引き続きプロトタイプ汚染系が目立ちます。 - 修正: 修正版の有無を確認し、代替ライブラリの検討も含めて対応してください。
CVE-2025-62593:Ray のRCE(CISA KEV 登録・悪用確認済み)
- 深刻度: High(CVSS 8.8、CWE-94 / CWE-352)
- 影響: Ray 2.52.0 未満(AIコンピュートエンジン、PyPI)
- 概要: ブラウザ経由攻撃に対する防御が User-Agent の
Mozilla判定のみに依存しており不十分です。User-Agent は改変可能なため、DNSリバインディングと組み合わせることで、開発者が悪意あるサイトや広告を閲覧しただけでRCEに至り得ます。CISA KEV(既知の悪用脆弱性)に登録済みで、実際の悪用が確認されています。 - 修正: Ray 2.52.0 以降へアップデートしてください。開発用途でもネットワーク到達可能な状態での起動は避けることを推奨します。
CVE-2026-25747:Apache Camel LevelDB の安全でないデシリアライズ
- 深刻度: High(CVSS 8.8、CWE-502)
- 影響: Apache Camel 4.10.0〜4.10.8 / 4.14.0〜4.14.5 / 4.15.0〜4.18.0 未満(LevelDBコンポーネント)
- 概要:
DefaultLevelDBSerializerがObjectInputStreamをObjectInputFilterなしで使用するため、LevelDBファイルへ書き込める攻撃者が細工したシリアライズオブジェクトを注入すると、集約処理時のデシリアライズで任意コード実行に至ります。 - 修正: 4.18.0 へ、LTS系は 4.10.9 / 4.14.5 以降へアップグレードしてください。
CVE-2026-44293:protobufjs のコードインジェクション
- 深刻度: High(CVSS 8.8、CWE-94)
- 影響: protobufjs 7.5.6 未満および 8.0.2 未満(npm)
- 概要:
toObject変換用に生成するJavaScriptに、スキーマ制御下の bytes フィールド既定値から攻撃者制御のコードが混入し得ます。信頼できない.proto記述子を扱う場合に危険です。 - 修正: protobufjs 7.5.6 または 8.0.2 以降へ更新してください。
その他、OpenSSL の PKCS#7/S/MIME 署名検証における use-after-free(CVE-2026-45447、High 8.8)や、Emacs のコマンドインジェクション(CVE-2025-1244、High 8.8)、Vim netrw のVimscriptコードインジェクション(CVE-2026-47162、High 8.8)も更新されています。
エコシステム別サマリー
npm(OSV 新規)
- Nuxt:
<NuxtLink>のto/hrefのURLスキーム未検証による反射型XSS(CVE-2026-53722)、navigateTo/reloadNuxtAppのオープンリダイレクト・スクリプト実行(CVE-2026-56326)、開発サーバーがDevToolsエンドポイント経由でプロジェクトルートを開示(CVE-2026-72744)。 - Astro:
transition:*ディレクティブ値、スロット名、View Transitionプロパティ、spread属性名の未エスケープによる反射型XSS群(CVE-2026-59727、CVE-2026-50146、CVE-2026-73422、CVE-2026-59729、CVE-2026-73423)と、プリレンダー用エラーページfetchの Host ヘッダーSSRF(CVE-2026-54299)。SSR構成では修正版への追随を推奨します。
PyPI(OSV 新規)
- Django:署名Cookieのソルト導出の非単射性(CVE-2026-6873)、
UpdateCacheMiddlewareのCache-Control大文字小文字非対応によるキャッシュ済みレスポンス開示(CVE-2026-8404)、has_vary_header()の空白未除去(CVE-2026-48587)。多くは Moderate 以下ですが、広く使われるため 5.2.15 / 6.0.6 系への計画的な追随を推奨します。
GitHub Advisory Database
- 本日は 723件と大規模な更新がありました。過去CVEの再同期(例: golang-fips/openssl の CVE-2024-9355 など)も多く含まれ、Go / npm / PyPI / Maven / .NET など横断的な内容です。自組織の依存に該当するものがないか、SCA(ソフトウェア構成解析)での棚卸しを推奨します。
JVN 日本語情報
- JVNDB-2026-000113:Synology Assistant の不適切なファイルアクセス権設定(CVE-2026-4793、CVSS 6.7 Medium)。インストール時のアクセス権設定に問題があります。
- JVNDB-2026-000112:F-RevoCRM のクロスサイトスクリプティング(CVE-2026-71368、CVSS 6.1 Medium)。国内CRM製品のため利用組織は確認を推奨します。
- JVNDB-2026-000111:miChecker のXML外部実体参照(XXE)(CVE-2026-14304、CVSS 3.3 Low)。総務省提供のアクセシビリティ評価ツールです。
まとめ
本日の要点は、認証・署名検証のバイパスと、ビルド/依存関係経由のコード実行が上位に集中した点です。特に golang.org/x/crypto のSSH認証バイパス(10.0) は自前SSHサーバを持つGo製ツールに直撃するため、x/crypto の更新を優先してください。Axios(SSRF)・Rollup(任意ファイル書き込み)・protobufjs / jsonpath は極めて広く使われるnpmパッケージで、推移的依存も含めた棚卸しが有効です。
運用面で最も緊急度が高いのは Ray のRCE(CISA KEV 登録済み=悪用確認済み) です。AI/ML開発環境で Ray を使っている場合は 2.52.0 以降への更新を最優先に検討してください。サーバ側では OpenStack keystonemiddleware・Authlib・mchange-commons-java(c3p0)・Apache Camel の認証・デシリアライズ系も影響範囲が広く、計画的な更新を推奨します。
データソース: NVD (NIST), OSV (Google), GitHub Advisory Database, JVN iPedia (IPA/JPCERT/CC) AI解説は Claude API により自動生成されています。正確性については原文をご確認ください。
