本日はNVDで新規公開・更新されたCVEが141件、うちCriticalが34件、Highが41件と多めです。生成AIのサンドボックス実行機能を持つPrefab UIでCVSS10.0のサンドボックス脱出が報告されたほか、Linuxカーネル・Apache MINA・GPUコンテナ基盤beta9など基盤ソフトウェアの深刻な脆弱性も目立ちます。
本日の概要
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| NVD新規公開・更新CVE | 141件 |
| Critical (9.0+) | 34件 |
| High (7.0-8.9) | 41件 |
| Medium (4.0-6.9) | 27件 |
| Low (0.1-3.9) | 5件 |
| CVSS未算定 | 34件 |
| OSV検出(npm) | 3件 |
| GitHub Advisory更新 | 61件 |
Critical/High 脆弱性の詳細解説
CVE-2026-120338:Prefab UIのサンドボックス脱出
CVSSスコア: 10.0(Critical)
Prefab UIの「Generative UI」機能は、LLMが生成したPythonコードをPyodide(WebAssembly版Python)とDenoサブプロセスで分離実行する設計です。しかし prefab-ui 0.14.0〜0.20.2では、起動したDenoに --allow-read --allow-write --allow-net の権限が付与されたままになっており、サンドボックス内のPythonからDenoのファイル読み書きAPIを呼び出せます。FastMCPのGenerativeUIプロバイダ(MCPツール generate_prefab_ui)経由でコードを送れるクライアントは、サーバーOSユーザー権限でのファイル読み書きや、.pthファイル設置によるコード実行の持続化が可能です。認証を設定していないFastMCPサーバーでは、到達できる全クライアントが対象になります。
修正バージョン: 0.21.0(Deno起動後に読み書き・ネットワーク権限を剥奪し、--no-promptで再許可を防止。ブートストラップ時のネットワークアクセスも cdn.jsdelivr.net に限定)
家庭用ルーター機器の深刻な脆弱性が多数(WAVLINK / D-Link / Oray ほか)
CVSS 9.1〜10.0、いずれもPoCが公開済みです。WAVLINKの複数モデル(WN579A3、WN530BE1、WN579X3-D、WL-WN530HG4B、WN553X1-B、WN701AE)では、Web管理画面のCGIパラメータを経由したOSコマンドインジェクション(CVE-2026-120195、CVE-2026-120196、CVE-2026-120197、CVE-2026-120198、CVE-2026-120228、CVE-2026-120229、CVE-2026-120230、CVE-2026-120231)が相次いで報告されています。D-Link DIR-505ではTFTPのファイル名処理にスタックバッファオーバーフロー(CVE-2026-120189)、Oray Pugongying X5 Proでは認可不備による工場リセット(CVE-2026-120224)とパストラバーサル経由のRCE(CVE-2026-120225)があります。いずれもリモートから認証なしで攻撃可能で、exploitがGitHub・vuldb上に既に公開されています。多くは個人・SOHO向け機器ですが、業務ネットワークの境界や拠点間VPNの入口に置いていないか、この機会に見直しを推奨します。
beta9(beam-cloud)にコンテナ境界を越える複数のCritical脆弱性
CVE-2026-120306 / CVE-2026-120307 / CVE-2026-120308(いずれもCVSS 9.9)
beta9はGPUワークロードを実行するコンテナ基盤です。(1) イメージビルド時のBuildah実行がchroot分離しかかけておらず、ワーカーPodのnamespaceとCAP_DAC_OVERRIDEを引き継ぐため、1回のイメージビルドだけでホストのruncバイナリやKubernetesサービスアカウントトークンに到達できる。(2) サンドボックスのファイルAPIがマウント先のパス解決を誤り、絶対パスやシンボリックリンクを辿って他テナントのファイルをroot権限で読み書き・削除できる。(3) ボリュームマウント時にワークスペースの所有権チェックが欠落し、他テナントのボリュームに読み書きできる。いずれもワークスペーストークンを持つ利用者が到達可能です。
修正バージョン: worker 0.1.756 / gateway 0.1.776(OCI isolationの強制、os.OpenRootによるパス検証、ボリューム所有権検証を追加)
CVE-2026-98432:Linuxカーネル ipv4のUse-After-Free
CVSSスコア: 9.8(Critical)
tcp_v4_syn_recv_sock() がIPオプション(ireq->ireq_opt)の所有権を子ソケットへ移す処理で、別CPUが同じ接続の再送SYNを並行処理していると、子ソケット解放後に ip_options_build() がUAFを起こす可能性があります。tcp_migrate_req によるリクエストソケット移行でも同様の競合があります。TCP接続を多く受けるLinuxサーバー全般が対象で、影響範囲は広めです。
修正: inet_sock_destruct() と tcp_v4_reqsk_destructor() で kfree_rcu() を使うよう修正。各ディストリの安定版カーネル更新に追随してください。
CVE-2026-118636:Apache MINA 3.0のデシリアライズRCE(修正版の提供なし)
CVSSスコア: 9.8(Critical)
MINA 3.0系のcodecモジュール JavaNativeMessageDecoder が、受信フレームに対してクラスフィルタなしで ObjectInputStream.readObject() を呼び出すため、信頼できないピアの前段に置くとガジェットチェーンによるRCEに悪用され得ます。MINA 3.0系ブランチは開発が停止しており、この問題を修正したリリースは提供されないとアナウンスされています。
対応: Apache MINA 2.2.x系への切り替えを推奨します。
CVE-2026-120201:Jpomの認証バイパス
CVSSスコア: 9.8(Critical)/対象: Jpom 2.10.0〜2.11.12
HutoolのCondition解析器が JPOM-USER-TOKEN ヘッダの値を演算子として解釈してしまうため、is not null のような値を送るだけで未認証の攻撃者がスーパー管理者権限を得られます。管理者権限取得後はスクリプト機能経由でのコマンド実行にも繋がります。
修正: 2.11.12より新しいバージョンへアップデートしてください。
CVE-2026-120209:AJ-ReportのハードコードJWTシークレットによるRCE
CVSSスコア: 9.8(Critical)/対象: AJ-Report 1.7.1以下
共有トークンの署名に固定のJWTシークレットが使われているため、攻撃者はオフラインでトークンを偽造できます。reportCode に dataSet を指定したトークンで testTransform エンドポイントに到達すると、スクリプトがGroovyClassLoaderに渡され未認証RCEが成立します。
修正: 最新版へのアップデート、もしくは該当エンドポイントの無効化を推奨します。
CVE-2026-10579:PicketlinkのSAML認証バイパス
CVSSスコア: 9.8(Critical)
Picketlink Federation SAMLの未請求応答ハンドラが、検証を行わずに偽造されたアサーションを受理してしまうため、未認証の攻撃者が任意のプリンシパル・ロールとして認証できます。
修正: RHSA-2026:53644 / RHSA-2026:53806 のパッチを適用してください。
CVE-2025-32911:libsoupのUse-After-Free
CVSSスコア: 9.0(Critical)
soup_message_headers_get_content_disposition() にUAFがあり、悪意あるHTTPクライアントがlibsoupサーバーのメモリを破壊できます。GNOME関連アプリやlibsoupを利用するサーバーコンポーネントが対象です。
修正: 各ディストリのlibsoup更新パッケージを適用してください(RHSA-2025:21657等)。
その他の注目のHigh
- CVE-2026-83831(CVSS 8.8): Microsoft Edge(Chromium)のダブルフリー。ネットワーク経由でのコード実行に繋がる可能性があり、Edgeの自動更新状況を確認してください。
- CVE-2026-120203(CVSS 8.8): ShowDoc 2.8.14〜3.9.5の Mockテンプレート機能に、認証済みユーザーからのコードインジェクション。3.9.6で修正済み。
- CVE-2026-120205(CVSS 8.0): Thelia 3.1.0未満の格納型XSS。顧客名の未エスケープが原因。3.1.0で修正済み。
エコシステム別サマリー(OSV)
本日のOSVデータはnpmエコシステムのみで3件検出されました。
- nuxt / @nuxt/nitro-server(CVE-2026-119200): Nuxt 4.6.0以降、リクエストパス中のドットセグメント(
...や%2e等のパーセントエンコード形式)をページ描画前に正規化する一方、Nitroのルーティングやroute rules、server/middlewareには正規化前のパスが渡ります。例えば/%2e/adminへのリクエストが/adminのページを描画し、パスベースのサーバー側チェックを回避できます。修正バージョン: 4.6.3 - vite(CVE-2026-118662):
server.fs.denyで禁止したファイルの内容が、クエリ付きリクエストで取得できてしまいます。開発サーバーを--host等でネットワークに公開している場合のみ影響。修正バージョン: 6.4.5 - vite / vite-plus(CVE-2026-53571): Windows環境限定で、
server.fs.denyが別形式のパス表記でバイパスされます。修正バージョン: vite 8.0.16 / 7.3.5 / 6.4.3、vite-plus 0.1.24
JVN 日本語情報
本日はMyJVNのデータが提供されていないため、該当する日本語脆弱性情報はありません。
まとめ
本日はCriticalが34件と多めの一日でした。中でもPrefab UIのサンドボックス脱出やbeta9のコンテナ境界越えは、生成AIのコード実行機能やGPUクラウド基盤を運用しているチームにとって優先確認の対象です。Linuxカーネルやlibsoupのような基盤コンポーネントの脆弱性は、通常のOS・ディストリのパッチサイクルに乗せて確実に取り込んでください。また、WAVLINKなど家庭用ルーター機器のOSコマンドインジェクションが連日報告される傾向が続いています。該当機器が社内ネットワークの境界やVPN機器として使われていないか、合わせて確認することを推奨します。
データソース: NVD (NIST), OSV (Google), GitHub Advisory Database, JVN iPedia (IPA/JPCERT/CC) AI解説は Claude API により自動生成されています。正確性については原文をご確認ください。
