本日は新規・更新CVEが632件公開され、分析対象の上位200件のうちCriticalが30件、Highが85件でした。最も深刻なのはMLモデル配信基盤 MLflow のコマンドインジェクション CVE-2025-15379(CVSS 10.0)で、悪意あるモデル成果物のデプロイによりホスト上で任意コマンドが実行されます。加えてローコードAI基盤 Flowise のサンドボックス脱出RCE(9.9)、Red Hat ACM/MCE のクラスタ制御コンポーネントにおける権限昇格(9.9)など、AI/クラウド基盤に関わる深刻な脆弱性が並びました。早めの確認を推奨します。
本日の概要
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新規・更新CVE(全体) | 632件 |
| 分析対象(上位) | 200件 |
| Critical (9.0+) | 30件 |
| High (7.0-8.9) | 85件 |
| Medium (4.0-6.9) | 71件 |
| Low (0.1-3.9) | 10件 |
| 影響エコシステム | crates.io, npm, Go, PyPI |
Critical / High 脆弱性の詳細
CVE-2025-15379 — MLflow モデル配信のコマンドインジェクション(CVSS 10.0)
- CVSS: 10.0 CRITICAL / CWE-77, CWE-78
- 影響: MLflow 3.8.0(3.8.2 未満)
- 概要: モデル配信コンテナの初期化処理
_install_model_dependencies_to_env()に問題があります。env_manager=LOCALでモデルをデプロイする際、モデル成果物のpython_env.yamlに記載された依存定義がサニタイズされずシェルコマンドへ展開されます。このため、攻撃者が細工したモデル成果物を配信対象に混入できると、ホスト上で任意コマンドが実行されます。社内で複数チームがモデルレジストリを共有している構成では、信頼境界の内側からの持ち込みに注意が必要です。 - 対策: 3.8.2 以降へアップデートしてください。当面アップデートが難しい場合は、信頼できないモデル成果物のデプロイを制限し、
env_managerにLOCAL以外(隔離された環境)を用いることを検討してください。 - リンク: NVD / MLflow commit
CVE-2026-73602 / CVE-2026-73601 — Flowise サンドボックス脱出・MCPノードRCE(CVSS 9.9 / 8.8)
- CVSS: 9.9・8.8 CRITICAL/HIGH / CWE-95
- 影響: Flowise 3.1.3 未満
- 概要: ローコードのLLMオーケストレーション基盤 Flowise に2件のコード実行経路が公開されました。CVE-2026-73602 は vm2 サンドボックスの脱出で、認証済みユーザーが moment のロケール検証バイパスを悪用し、サンドボックス外のJavaScriptを読み込んで実行できます。CVE-2026-73601 は Custom MCP ノードで
CUSTOM_MCP_PROTOCOL=stdioの場合に、環境変数や引数の操作を通じて任意コマンドが実行できるものです。いずれも認証済みユーザーが必要ですが、外部にログインを開放している構成では影響が大きくなります。 - 対策: 3.1.3 以降へアップデートしてください。管理画面を不特定多数に開放している場合は、アクセス制限の見直しも併せて推奨します。
- リンク: NVD / GHSA-rqh4-rxw3-93rp
CVE-2026-73268 / 73269 / 66795 — Red Hat ACM/MCE クラスタ制御コンポーネントの権限昇格(CVSS 9.9)
- CVSS: 9.9 CRITICAL / CWE-94, CWE-269, CWE-295
- 影響: Red Hat Advanced Cluster Management / multicluster engine(MCE)
- 概要: マルチクラスタ管理基盤の制御コンポーネントに3件の権限昇格が報告されました。CVE-2026-73268 は
cluster-curator-controllerがspec.install.overrideJobの入力を検証せず、任意のJob定義を注入されてコントローラ権限でのコード実行に至るものです。CVE-2026-73269 は特定の命名規則の ClusterCurator リソース作成によりクラスタスコープの ClusterRoleBinding を生成させ、namespace ローカルからクラスタ全体へ昇格するもの。CVE-2026-66795 はmanagedcluster-import-controllerのCSR自動承認ロジックの検証不備で、spokeクラスタからhubクラスタの管理者資格情報の取得につながります。 - 対策: Red Hat のエラータ(RHSA-2026:59556 ほか)に従い、対象コンポーネントを 修正版へアップデートしてください。ClusterCurator リソースへの create/update 権限の付与範囲も見直すとよいでしょう。
- リンク: NVD / RHSA-2026:59556
CVE-2026-69502 / CVE-2026-63509 — Azure SQL Database SSRF・Microsoft Fabric パストラバーサル(CVSS 10.0 / 9.9)
- CVSS: 10.0・9.9 CRITICAL / CWE-918, CWE-23
- 影響: Azure SQL Database / Microsoft Fabric(Microsoft 管理のクラウドサービス)
- 概要: CVE-2026-69502 は Azure SQL Database の SSRF で、未認証の攻撃者がネットワーク経由で権限昇格に至る可能性があります。CVE-2026-63509 は Microsoft Fabric の相対パストラバーサルで、認可済みの攻撃者による権限昇格につながります。いずれもクラウド側で管理されるサービスのため、原則としてMicrosoft側で修正が展開されます。
- 対策: 基本的に利用者側の操作は不要ですが、MSRCのアドバイザリで自環境への影響有無と対応要否を確認してください。
- リンク: MSRC (69502) / MSRC (63509)
CVE-2026-82635 — Pake 生成アプリのパストラバーサル(CVSS 8.8)
- CVSS: 8.8 HIGH / CWE-22
- 影響: Pake 3.13.1 未満
- 概要: WebサイトをデスクトップアプリにパッケージングするツールPakeの
download_fileTauriコマンドで、JavaScript側から渡されたファイル名がサニタイズされずダウンロードディレクトリに結合されます。パストラバーサル列や絶対パスを含めると~/Downloadsの外へ書き込め、攻撃者が用意したURLの内容を任意パスへ保存できます。macOSのLaunchAgentsやWindowsのスタートアップ等への書き込みで永続化とコード実行に至る可能性があります。Pakeで生成した全てのデスクトップアプリが同じコマンドを露出します。 - 対策: Pake を 3.13.1 以降へ更新し、生成済みアプリを再ビルド・再配布してください。
- リンク: NVD / Pake V3.13.1
その他の注目High
- CVE-2026-83596(8.8) — WebKitGTK で細工されたWebコンテンツ処理時のメモリ破壊。GNOME系ブラウザ等が影響。ディストリビューションの修正版へアップデートを推奨します。
- ICS/OT機器 — Lantronix EDS5000 の CVE-2025-67038(9.8、OSコマンドインジェクション)、EDS3000PS の CVE-2025-67039(9.8、認証バイパス)、Tycon Systems TPDIN-Monitor-WEB2 の CVE-2026-61884(9.8、認証情報未設定)がCISA ICSアドバイザリで公開されています。該当機器を運用している場合はファームウェア更新と露出制限を推奨します。
エコシステム別サマリー
GHSA(GitHub Advisory)では本日601件が更新され、影響パッケージが特定できるものの内訳は crates.io 70件 / npm 23件 / Go 20件 / PyPI 16件 が中心でした。深刻度分布は Critical 56件・High 120件・Moderate 160件です。
- crates.io / npm: AIコーディングTUIの CodeWhale(旧 deepseek-tui) に権限承認バイパス系の脆弱性が多数まとまって公開されました。SSRF(DNSピン留めのTOCTOU、CVE-2026-75856、Critical)や、
git_blame/git_showの引数インジェクションによる任意ファイル読み書き、シェル自動承認によるコマンド実行などが含まれます。crates.io 版は 0.8.64、npm 版は 0.8.41 / 0.8.64 で修正されています。 - PyPI: 広く使われる python-cryptography に CVE-2026-69249(High)。重複した自己署名中間証明書により証明書パス構築が指数関数的に膨らみDoSにつながります。49.0.0 で修正済みです。
- Go: マルチクラスタ基盤 OpenChoreo の CVE-2026-73842(Critical)— cluster-gateway 内部プロキシが呼び出し元認証を行わず、データプレーンのSecret漏えいや任意のKubernetes操作につながります。1.0.3 / 1.1.3 / 1.2.0 で修正。SurrealDB の CVE-2026-63735(High、crates.io、3.2.0で修正)も併せて確認してください。
JVN 日本語情報
- JVNDB-2026-000128 — 株式会社エクシング「CPTrans-ME-X」における複数の脆弱性(CVSS 9.8)。OSコマンドインジェクション(CWE-78)、機微なシステム情報の漏えい(CWE-497)、デフォルトパスワードの使用(CWE-1393)、ハードコードされたパスワードの使用(CWE-259)が報告されています。該当製品を運用している場合は、開発者情報に従った対応を推奨します。
まとめ
本日はCriticalが30件と多く、中でも MLflow のコマンドインジェクション(CVSS 10.0) が最優先の確認対象です。社内MLOps基盤やモデルレジストリを共有運用しているチームは、3.8.2への更新と信頼できないモデル成果物の取り扱いを見直してください。加えて Flowise のサンドボックス脱出RCE(9.9)、Red Hat ACM/MCE の権限昇格(9.9)、OpenChoreo(9.9) など、AI/クラウド・マルチクラスタ基盤に関わる深刻な脆弱性が目立ちました。
依存ライブラリでは python-cryptography(High、49.0.0) が広く使われるため、更新の棚卸しを推奨します。外部公開しているICS/OT機器についても、ファームウェア更新とデフォルト認証情報の変更、露出サービスの見直しを併せて実施してください。
データソース: NVD (NIST), OSV (Google), GitHub Advisory Database, JVN iPedia (IPA/JPCERT/CC) AI解説は Claude API により自動生成されています。正確性については原文をご確認ください。
