本日の概況
2026年6月6日は、NVDで200件のCVEが公開・更新され、うちCriticalが43件と多めです。最も注目されるのは、HuggingFace transformers ライブラリ(v5.3.0未満全バージョン)に存在するRCE脆弱性(CVE-2026-4372)です。trust_remote_code の安全機能を回避して任意コードを実行できる点が特に深刻です。同日、Django の複数の SQL injection(CVE-2025-64459 CVSS 9.1含む)、Ivanti vTM の管理パネル認証バイパス(CVE-2024-7593 CVSS 9.8 CISA KEV登録済み)も確認されています。
本日の概要
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新規・更新CVE(NVD) | 200件 |
| Critical(9.0+) | 43件 |
| High(7.0-8.9) | 87件 |
| Medium(4.0-6.9) | 62件 |
| Low(0-3.9) | 1件 |
| GHSA アドバイザリ | 901件 |
| 影響エコシステム(OSV) | npm, PyPI |
Critical / High 脆弱性 詳細
CVE-2026-4372 — HuggingFace transformers trust_remote_code 回避 RCE
- CVSS スコア: スコア評価中(NVD)/ 深刻度: Critical(概要より)
- CWE: CWE-502(信頼できないデータのデシリアライゼーション)、CWE-1066(不適切な属性の使用)
- 影響バージョン: HuggingFace transformers v5.3.0 未満(全バージョン)
- 概要: 悪意ある
config.jsonファイルに_attn_implementation_internalフィールドを設定すると、標準的なAutoModelForCausalLM.from_pretrained()API 呼び出しの際に、攻撃者が管理する HuggingFace Hub リポジトリから任意の Python コードがダウンロード・実行されます。trust_remote_code=False(デフォルト設定)を設定していても本脆弱性は回避できず、通常の使用パターンで悪用可能な点が特に深刻です。 - 修正バージョン: transformers 5.3.0 以降
- 対策:
pip install --upgrade transformersでアップデート。信頼できないソースからのモデル読み込みを避けることも有効です。 - 参考: NVD / HuggingFace commit
CVE-2024-7593 — Ivanti vTM 管理パネル認証バイパス ※CISA KEV 登録
- CVSS スコア: 9.8(CRITICAL)
- CWE: CWE-287(認証不備)、CWE-303(認証アルゴリズムの不正な実装)
- 影響バージョン: Ivanti Virtual Traffic Manager(vTM)22.2R1 および 22.7R2 以外の全バージョン
- 概要: 認証アルゴリズムの実装不備により、未認証のリモート攻撃者が管理パネルの認証をバイパスできます。CISA KEV(既知の悪用された脆弱性カタログ)に登録済みであり、実際の悪用が確認されています。
- 修正バージョン: 22.2R1 または 22.7R2 へアップデート
- 参考: Ivanti セキュリティアドバイザリ / CISA KEV / NVD
CVE-2026-26832 — node-tesseract-ocr OS コマンドインジェクション
- CVSS スコア: 9.8(CRITICAL)
- CWE: CWE-78(OSコマンドインジェクション)
- 影響バージョン: node-tesseract-ocr 2.2.1 以前(全バージョン)
- 概要:
recognize()関数のfileパラメーターがサニタイズされずにchild_process.exec()に渡されます。ファイルパスを外部から制御できる環境では、任意の OS コマンドが実行可能です。 - 修正: 修正バージョンは現時点で未公開。ファイルパスの入力値を厳密に検証し、信頼できないパスを渡さないよう実装を見直してください。
- 参考: NVD / GitHubリポジトリ
Django SQL injection — 複数の CVE(PyPI)
Django に複数の SQL injection 脆弱性が公開されています。特に注目すべき2件です。
CVE-2025-64459 — QuerySet / Q オブジェクト _connector 引数経由の SQL injection
- CVSS スコア: 9.1(CRITICAL)
CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:N - 影響バージョン: Django 4.2 系 < 4.2.26、5.1 系 < 5.1.14、5.2 系 < 5.2.8
- 概要:
QuerySet.filter()、QuerySet.exclude()、QuerySet.get()、Q()クラスが、辞書展開を用いた細工された辞書を_connector引数に渡した場合に SQL injection を許します。認証なしでもデータベースの機密情報への不正アクセスやデータ改ざんが可能です。 - 修正: 4.2.26 / 5.1.14 / 5.2.8 以降へアップデート
- 参考: GHSA-frmv-pr5f-9mcr / NVD
CVE-2026-1207 — RasterField バンドインデックス経由の SQL injection(PostGIS)
- CVSS スコア: CVSS v4.0 評価中
AV:N/AC:L/AT:N/PR:N/UI:N/VC:H/VI:H/VA:H - 影響バージョン: Django 4.2 系 < 4.2.28、5.2 系 < 5.2.11
- 概要: PostGIS バックエンド使用時、
RasterFieldのラスタールックアップにおいてバンドインデックスパラメーターを通じた SQL injection が可能です。PostGIS を使用している Django 環境で影響があります。 - 修正: 4.2.28 / 5.2.11 以降へアップデート
- 参考: GHSA-mwm9-4648-f68q / NVD
CVE-2026-8389 — Firefox JIT エンジン型混同によるメモリ破壊
- CVSS スコア: 8.8(HIGH)
- CWE: CWE-119(バッファ操作の制限不備)、CWE-843(型混同)
- 影響バージョン: Firefox 150.0.3 未満
- 概要: JavaScript エンジンの JIT コンパイラーにおける型混同(type confusion)によってメモリ破壊が発生する可能性があります。細工されたウェブページを閲覧することで、攻撃者がブラウザのコンテキストで任意コードを実行できる可能性があります。
- 修正バージョン: Firefox 150.0.3 以降
- 参考: Mozilla セキュリティアドバイザリ mfsa2026-45 / NVD
CVE-2025-54807 — Dover Fueling Solutions ProGauge MagLink LX 4 認証トークン署名鍵のハードコード
- CVSS スコア: 9.8(CRITICAL)
- CWE: CWE-321(ハードコードされた暗号鍵)
- 影響バージョン: ProGauge MagLink LX 4(CISA ICS アドバイザリ対象バージョン)
- 概要: 燃料管理システムの認証トークンを検証するための秘密鍵がファームウェアにハードコードされています。署名鍵を取得した攻撃者は認証をバイパスし、システムへの完全なアクセスが可能となります。ICSコンポーネントのため、ガソリンスタンドや給油施設への影響が懸念されます。
- 対策: CISA ICS アドバイザリ ICSA-25-261-07 を参照し、ベンダー提供のファームウェアアップデートを適用してください。
- 参考: CISA ICSA-25-261-07 / NVD
CVE-2024-0193 / CVE-2026-43084 — Linux カーネル netfilter 脆弱性
Linux カーネルの netfilter サブシステムに2件の脆弱性が更新されています。
| CVE | CVSS | 概要 |
|---|---|---|
| CVE-2024-0193 | 7.8 | netfilter pipapo セット削除時の use-after-free → CAP_NET_ADMIN 権限を持つローカルユーザーによる権限昇格 |
| CVE-2026-43084 | 7.8 | nfnetlink_queue グローバルハッシュテーブル共有による KASAN slab-use-after-free クラッシュ |
- 対策: ディストリビューション提供のカーネルアップデートを適用してください(RHEL: 各 RHSA 参照)。
CVE-2026-3087 — Python shutil.unpack_archive() Windows パストラバーサル
- CVSS スコア: 7.5(HIGH)
- CWE: CWE-22(パストラバーサル)
- 影響バージョン: Python(特定のパッチ未適用バージョン)、Windows 環境のみ
- 概要:
shutil.unpack_archive()に絶対 Windows パス(C:\...形式)を含む ZIP アーカイブを渡すと、展開先ディレクトリ外にファイルが抽出されます。Linux/macOS では発生しない Windows 固有の問題です。 - 修正: CPython コミット を参照し、修正済みバージョンへアップデートしてください。
- 参考: NVD
エコシステム別サマリー
PyPI(Django 複数の脆弱性)
本日は Django 関連の脆弱性が集中しています。各系列への対応は以下の通りです。
| CVE | 深刻度 | 概要 | 修正バージョン |
|---|---|---|---|
| CVE-2025-64459 | Critical (9.1) | _connector 経由の SQL injection | 4.2.26 / 5.1.14 / 5.2.8 |
| CVE-2026-1207 | Critical (CVSSv4) | RasterField/PostGIS SQL injection | 4.2.28 / 5.2.11 |
| CVE-2026-1312 | Medium | order_by() カラムエイリアス SQL injection | 4.2.28 / 5.2.11 |
| CVE-2025-57833 | High | FilteredRelation カラムエイリアス SQL injection | 4.2.24 / 5.1.12 / 5.2.6 |
| CVE-2025-59681 | High | MySQL/MariaDB カラムエイリアス SQL injection | 4.2.25 / 5.1.13 / 5.2.7 |
| CVE-2025-64458 | High (7.5) | Windows 環境 HttpResponseRedirect DoS | 4.2.26 / 5.1.14 / 5.2.8 |
Django 4.2 / 5.1 / 5.2 系を利用している環境では、上記の修正バージョンへのアップデートを推奨します。
npm
-
CVE-2026-26832 —
node-tesseract-ocr2.2.1以下(Critical)
OSコマンドインジェクション。修正バージョン未公開のため、ユーザー入力をファイルパスに使用しないよう実装を見直してください。 -
CVE-2024-52011 —
launch-editor/vite(High)
Windows でのコマンドインジェクション。launch-editor2.9.0 /vite5.4.9 以降で修正済みです。
GitHub Advisory(GHSA)注目アドバイザリ
本日の GHSA では901件のアドバイザリが更新されており、Critical が82件含まれます。注目度の高いものを抜粋します。
| GHSA ID | 深刻度 | 概要 |
|---|---|---|
| GHSA-66h8-3g48-6hx8 | CRITICAL | Apache Airflow Providers Edge3:内部 API 経由の Web サーバーコンテキスト RCE |
| GHSA-5882-5rx9-xgxp | CRITICAL | Crawl4AI:Docker API の Hooks パラメーター経由 RCE |
| GHSA-29wv-cv7p-xjc2 | CRITICAL | GlassFish ガジェットハンドラー経由 RCE |
| GHSA-96v6-hq43-x9h4 | CRITICAL | GlassFish 管理コンソール経由 RCE |
| GHSA-jmrh-xmgh-x9j4 | CRITICAL | changedetection.io:デコレーター順序問題による認証バイパス |
| GHSA-jpvj-wpmj-h7rv | CRITICAL | @cap-js/openapi 経由のサプライチェーン侵害 |
| GHSA-9cfw-f3f9-7mm7 | CRITICAL | APScheduler JSONSerializer/CBORSerializer RCE |
JVN 日本語情報
CVE-2026-34126 — 複数の TP-LINK 製品 重要情報の平文送信
- 深刻度: Medium(CVSS 6.7)
- CWE: CWE-319(重要情報の平文送信)
- 概要: TP-Link Systems が提供する複数の製品において、重要情報が平文で送信される脆弱性が存在します。IPA への報告・JPCERT/CC との調整により公開されました(報告者: 合同会社エルプラス eyegrep 氏、izurina 氏)。
- 参考: JVNDB-2026-000082
JVNDB-2026-018267 — Securly Chrome Extension 複数の脆弱性
- 深刻度: CVSS 未評価(CERT/CC VU#595768)
- 概要: Securly Chrome Extension に弱い暗号化とアクセス制御に関する複数の脆弱性が存在すると、CERT/CC が報告しています。
- 参考: JVNDB-2026-018267
まとめ
本日の最重要事項は3点です。
-
HuggingFace transformers の RCE(CVE-2026-4372)は、
trust_remote_code=Falseという一般的なセキュリティ設定を回避して任意コードを実行できる点が特に深刻です。AI/MLワークロードで transformers を利用しているすべての環境で 5.3.0 以降への更新を推奨します。 -
Django の SQL injection(CVE-2025-64459 CVSS 9.1ほか複数)は、広く使われている ORM の標準的な使用パターンに影響します。Django 4.2 / 5.1 / 5.2 系を利用している場合は各系列の最新パッチバージョンへの更新を確認してください。
-
Ivanti vTM の認証バイパス(CVE-2024-7593 CVSS 9.8)は CISA KEV に登録されており、実際の悪用が確認されています。該当製品を利用している場合は22.2R1または22.7R2への更新を優先してください。
Firefox ユーザーは 150.0.3 以降へのアップデートにより JIT 脆弱性(CVE-2026-8389 CVSS 8.8)に対応できます。Linux カーネル環境ではディストリビューション提供のアップデートで netfilter の2件に対応できます。
データソース: NVD (NIST), OSV (Google), GitHub Advisory Database, JVN iPedia (IPA/JPCERT/CC) AI解説は Claude API により自動生成されています。正確性については原文をご確認ください。
